「平均年収460万円」この数字を見て、多くの人が「自分の年収と全然違う」と感じているのではないでしょうか。
国税庁の令和5年分民間給与実態統計調査によると、日本の平均年収は約460万円とされています。
しかし、実際にこの金額をもらっている人は意外と少なく、「平均年収がおかしい」と感じる人が急増しています。
この記事では、平均年収がなぜ実感とかけ離れているのか、中央値407万円が示す本当の実態、そして年収を上げる具体的な方法について詳しく解説します。
平均年収がおかしいと感じる人が急増中！460万円の実態
平均年収460万円という数字は国税庁が発表した公式データですが、この数字に違和感を覚える人が増えています。
SNSでも「平均年収なんて全然もらってない」「周りを見ても460万円ももらってる人は少ない」という声が多く見られます。
実は、この違和感には明確な理由があり、平均値という統計の仕組みが大きく関係しています。
なぜ多くの人が平均年収を高すぎると感じるのか
平均年収を高すぎると感じる最大の理由は、一部の高所得者が平均値を大きく押し上げているからです。
平均値は全員の年収を足して人数で割るため、年収1000万円以上の富裕層の影響を強く受けてしまいます。
たとえば、年収300万円の人が9人、年収3000万円の人が1人いた場合、平均は570万円になりますが、実際には9割の人が300万円しかもらっていません。
このように平均値は極端な高所得者の影響を受けやすいため、多くの人にとって平均年収は実感とかけ離れた数字になってしまうのです。
平均年収460万円に届かない人の割合は？
国税庁のデータを詳しく見ると、年収460万円に届かない人の割合は実に半数以上を占めています。
年収400万円以下の人が全体の約54.1%、つまり2人に1人以上が平均年収に届いていないのが現実です。
さらに年収300万円未満の人だけでも37.3%と、全体の3人に1人以上を占めています。
このデータからも、平均年収460万円という数字がいかに多くの人にとって高い水準であるかがわかります。
年収300万円台でも普通？リアルな収入分布
実は年収300万円台というのは、日本では決して珍しくない収入帯です。
国税庁のデータによると、最も多い年収帯は300万円超400万円以下で全体の16.3%を占めています。
次いで400万円超500万円以下が15.4%、200万円超300万円以下が14.0%となっており、200万円から500万円の間に多くの人が集中していることがわかります。
つまり、年収300万円台や400万円台というのは、日本では最も一般的な収入帯であり、決して「低い」わけではないのです。
平均年収おかしい最大の理由は「平均値」のカラクリ
平均年収がおかしいと感じる根本的な原因は、平均値という統計手法そのものにあります。
平均値は全体像を把握するのに便利な指標ですが、収入のように格差が大きいデータには適していません。
ここでは、平均値がどのように実態とズレを生むのか、そのメカニズムを詳しく解説します。
富裕層が平均年収を押し上げる仕組み
日本には年収1億円を超える超富裕層が約2万人存在すると言われています。
これらの超高所得者たちの年収が平均値の計算に含まれると、全体の平均が大幅に押し上げられてしまいます。
たとえば、99人が年収400万円、1人が年収4億円の場合、平均は約800万円になりますが、実際には99%の人が400万円しかもらっていません。
このように、少数の富裕層の存在が、多くの一般的な労働者の実態とかけ離れた平均値を作り出してしまうのです。
極端に高い年収の人が与える影響とは
経営者や芸能人、スポーツ選手など、一般的なサラリーマンとは桁違いの年収を得ている人たちの影響は想像以上に大きいです。
年収1億円の人が1人いるだけで、年収400万円の人25人分の影響力を持つことになります。
さらに、大企業の役員報酬は近年高額化しており、年収数億円という役員も珍しくありません。
これらの極端に高い年収の人たちが統計に含まれることで、一般的な労働者の年収実態が見えにくくなってしまうのです。
なぜ平均値は実感と大きくズレるのか
平均値が実感とズレる理由は、日本の所得分布が「右に長い尾を引く分布」になっているからです。
つまり、多くの人が低〜中所得に集中している一方で、少数の高所得者が極端に高い年収を得ているという構造です。
このような分布では、平均値は必然的に多数派よりも高い位置に来てしまいます。
そのため、平均年収を見て「自分は平均以下だ」と感じる人が多くなるのは、統計学的に見ても当然の結果なのです。
日本の年収中央値407万円が示す本当の実態
平均値の問題点を解決するのが「中央値」という指標です。
中央値とは、データを小さい順に並べたときにちょうど真ん中に来る値のことで、極端な値の影響を受けません。
日本の年収中央値は約407万円とされており、これが多くの人にとってより実感に近い数字となっています。
中央値と平均値の違いをわかりやすく解説
中央値は全員を年収順に並べたときの真ん中の人の年収です。
たとえば、5人の年収が200万、300万、400万、500万、1000万円の場合、中央値は真ん中の400万円になります。
一方、平均値は全員の年収を足して人数で割るので、同じ例では480万円になります。
このように、高所得者がいる場合は平均値の方が中央値より高くなり、その差が大きいほど格差が大きいことを示しています。
年収中央値407万円の計算方法と根拠
年収中央値407万円は、厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査を基に算出されています。
月収の中央値が約28万円で、これを12ヶ月分にすると336万円になります。
これに平均的な賞与71万円を加えると、年収中央値は約407万円となります。
この数字は、日本で働く人の半分がこれ以上、半分がこれ以下の年収であることを意味しており、より実態に近い指標といえます。
多くの日本人の年収は400万円前後が現実
中央値407万円という数字が示すように、日本人の年収は400万円前後に集中しています。
実際、年収300万円から500万円の間に全体の約45%の人が含まれており、これが日本の「普通」の年収帯です。
月収にすると手取り20万円から27万円程度で、家賃や生活費を払うと貯金は厳しいというのが多くの人の実感でしょう。
つまり、年収400万円前後で生活している人が「普通」であり、決して「低所得」ではないのです。
年代別・性別で見る平均年収と中央値の実際
年収は年代や性別によって大きく異なり、それぞれに特徴的な傾向があります。
20代から50代まで、各年代でどのような年収分布になっているのか、男女間でどれほどの差があるのかを詳しく見ていきます。
これらのデータを知ることで、自分の年収が同世代・同性の中でどの位置にあるのかを客観的に判断できます。
20代〜30代の平均年収と中央値の差
20代の年収中央値は約345万円、平均年収は約380万円となっており、その差は35万円程度です。
30代になると中央値は約400万円、平均年収は約450万円まで上昇し、差は50万円に広がります。
この年代では転職が活発で、IT業界などの高収入職種に就く人と、非正規雇用の人との格差が広がり始めます。
特に30代は結婚や住宅購入を考える時期でもあり、年収400万円前後では生活設計に悩む人が多いのも実情です。
40代〜50代で広がる年収格差の実態
40代の年収中央値は約450万円、平均年収は約520万円と、その差は70万円まで広がります。
50代では中央値が約500万円、平均年収は約580万円となり、差は80万円にまで拡大します。
この年代では管理職に就く人と、そうでない人の差が明確になり、同期入社でも年収に2倍以上の差がつくことも珍しくありません。
また、大企業と中小企業の差も顕著になり、同じ年齢でも勤務先によって年収に大きな開きが生じています。
男女間で異なる平均年収と中央値の開き
男性の平均年収は約569万円、中央値は約420万円で、その差は149万円にもなります。
一方、女性の平均年収は約316万円、中央値は約340万円と、平均値の方が低いという逆転現象が起きています。
この差は、女性の場合は非正規雇用の割合が高く、高所得者が少ないことが原因です。
男女間の年収格差は依然として大きく、同じ職種でも女性の方が低い傾向があり、これも「平均年収がおかしい」と感じる一因となっています。
業界・企業規模別に見る平均年収の真実
年収は働く業界や企業規模によって大きく左右されます。
同じ仕事内容でも、業界が違えば年収に100万円以上の差がつくことも珍しくありません。
ここでは、業界別・企業規模別の年収実態を詳しく分析していきます。
業界による平均年収の大きな格差
金融業界の平均年収は約650万円と全業界でトップクラスです。
次いでIT・通信業界が約600万円、コンサルティング業界が約580万円と続きます。
一方、小売業や飲食サービス業は約350万円、介護・福祉業界は約330万円と、トップ業界の半分程度しかありません。
このような業界間格差があるため、同じ能力でも働く業界によって年収が大きく変わってしまうのです。
大企業と中小企業の年収差はどれくらい？
従業員1000人以上の大企業の平均年収は約550万円です。
100人から999人の中企業では約450万円、99人以下の小企業では約380万円となっています。
つまり、大企業と小企業では170万円もの差があり、これは月収にすると約14万円の差になります。
企業規模による年収差は年齢とともに拡大し、50代では200万円以上の差がつくこともあります。
地域による平均年収と中央値の違い
東京都の年収中央値は約400万円で全国トップです。
神奈川県も400万円、大阪府が380万円と、大都市圏が上位を占めています。
一方、地方では中央値が330万円から350万円程度の県が多く、東京との差は50万円から70万円にもなります。
ただし、地方は生活費が安いため、年収が低くても生活水準は必ずしも低いわけではないことも考慮すべきでしょう。
平均年収に届かなくても大丈夫！年収を上げる7つの方法
平均年収に届かないからといって悲観する必要はありません。
年収を上げる方法は複数あり、自分に合った方法を選んで実践すれば、確実に収入アップを実現できます。
ここでは、今すぐ始められる年収アップの具体的な方法を7つ紹介します。
今の会社で昇進・昇給を狙う現実的な戦略
現在の職場で昇進・昇給を目指すのが最もリスクの低い方法です。
まず上司との定期的な面談で、自分の成果を数字で示し、具体的な目標を共有しましょう。
プロジェクトのリーダーを積極的に引き受け、成果を出すことで評価を高めることができます。
また、社内の評価制度を理解し、評価項目に沿った行動を心がけることで、着実に昇給への道を開けます。
資格取得・スキルアップで市場価値を高める
専門資格の取得は、確実に年収アップにつながる投資です。
IT業界なら基本情報技術者やAWS認定、経理なら簿記1級や税理士、不動産なら宅建士など、業界で評価される資格を取得しましょう。
オンライン学習プラットフォームを活用すれば、働きながらでも効率的にスキルアップできます。
資格手当がつく会社も多く、月1万円から5万円の手当がつけば、年収は12万円から60万円アップします。
副業で月5万円の収入を増やす具体策
副業解禁の流れを活用して、本業以外の収入源を作りましょう。
プログラミングやWebデザインのスキルがあれば、クラウドソーシングで月5万円から10万円は十分可能です。
文章が得意なら、Webライティングで記事を書けば、1記事3000円から1万円の収入になります。
週末だけの副業でも年間60万円から120万円の収入増が見込め、これだけで年収を大幅にアップできます。
転職で年収アップを実現する成功法則
転職は年収を大幅にアップさせる最も効果的な方法の一つです。
実際、転職による平均年収アップ額は約90万円というデータもあり、適切な戦略で転職すれば100万円以上のアップも夢ではありません。
ここでは、転職で確実に年収アップを実現するための具体的な方法を解説します。
年収が上がりやすい転職のタイミング
転職で年収アップしやすいのは、20代後半から30代前半です。
この時期は基礎スキルが身についており、かつ将来性も評価されるゴールデンタイムです。
また、ボーナス支給後の7月や1月は求人が増え、企業も積極的に採用するため交渉しやすくなります。
現職で大きな成果を出した直後や、資格取得直後も、自信を持って交渉できる絶好のタイミングです。
異業種転職で年収アップする人の特徴
異業種転職で成功する人は、転用可能なスキルを明確にアピールできる人です。
営業職なら、どの業界でも通用するコミュニケーション力と交渉力を武器にできます。
経理や人事などの管理部門職種は、業界を問わず需要があり、より給与水準の高い業界への転職で年収アップが狙えます。
特にIT業界や金融業界への転職は、未経験でも前職の経験を活かせれば、大幅な年収アップが期待できます。
転職エージェントを活用した年収交渉術
転職エージェントは年収交渉のプロであり、個人では言いづらい条件交渉も代行してくれます。
複数のエージェントに登録し、それぞれから提示される条件を比較することで、より良い条件を引き出せます。
内定が出た段階で、他社の条件を材料に交渉すれば、さらに10%から20%の年収アップも可能です。
エージェントには希望年収だけでなく、現在の年収や他社の提示額も正直に伝えることで、最適な交渉戦略を立ててもらえます。
よくある質問Q&A
平均年収に関する疑問や不安は尽きません。
ここでは、多くの人が抱える代表的な質問に対して、具体的なデータと実践的なアドバイスでお答えします。
年収に関する悩みを解決し、前向きな行動につなげるヒントを見つけてください。
Q1. 平均年収おかしいと感じるのは私だけ？
あなただけではありません。
実際に年収460万円以下の人が全体の半数以上を占めており、多くの人が同じように感じています。
SNSでも「平均年収なんて夢のまた夢」という声が多数あり、これは統計の仕組み上、当然の感覚です。
大切なのは平均値に惑わされず、中央値や自分の年代・業界の実態を把握し、現実的な目標を立てることです。
Q2. 日本の年収中央値407万円は本当に正確？
はい、厚生労働省の公式調査に基づく正確な数字です。
月収中央値28万円×12ヶ月+賞与71万円で算出されており、信頼性の高いデータです。
この407万円という数字は、日本で働く人の半分がこれ以上、半分がこれ以下という実態を表しています。
平均値460万円より53万円も低いことからも、いかに平均値が一部の高所得者に引き上げられているかがわかります。
Q3. 平均年収より低くても生活できる？
もちろん生活できます。
実際、全体の54%以上の人が年収400万円以下で生活しており、これが日本の標準的な生活水準です。
年収350万円でも、家賃を抑え、無駄な支出を減らせば、貯金もできます。
重要なのは収入に見合った生活設計をすることで、見栄を張らず、身の丈に合った暮らしを心がければ十分豊かに生活できます。
Q4. 年収を上げるには転職と副業どちらが効果的？
即効性を求めるなら転職、リスクを抑えたいなら副業がおすすめです。
転職では平均90万円の年収アップが期待でき、成功すれば一気に100万円以上上がることもあります。
一方、副業は月5万円でも年間60万円の収入増になり、本業を続けながら低リスクで始められます。
理想的なのは、まず副業でスキルと実績を積み、それを武器に好条件で転職するという戦略です。
Q5. 中央値より低い年収から脱出する方法は？
まず自分の市場価値を正確に把握することから始めましょう。
転職サイトの年収診断ツールを使えば、同年代・同職種での適正年収がわかります。
次に、不足しているスキルを特定し、オンライン学習や資格取得で補強します。
並行して副業で実績を作り、それをアピール材料にして転職活動をすれば、確実に年収アップへの道が開けます。
まとめ
平均年収460万円がおかしいと感じるのは、一部の高所得者が平均値を押し上げているためで、実際の中央値は407万円です。
年収400万円前後が日本の「普通」であり、平均以下だからといって悲観する必要はありません。
年収を上げたいなら、現職での昇進、資格取得、副業、転職など、自分に合った方法を選んで実践することが大切です。
特に転職は平均90万円の年収アップが見込め、20代後半から30代前半が最も成功しやすいタイミングです。
大切なのは、他人と比較して落ち込むのではなく、自分の現在地を正確に把握し、具体的な行動を起こすことです。
今日から始められる小さな一歩が、将来の大きな年収アップにつながります。
